ニュース概要
中位ケースで夢洲IR施設では開業3年目に1,645人の外国人労働者需要が生じ、うち宿泊・飲食サービス業894人、生活関連サービス業・娯楽業(カジノを含む)309人と試算された
ニッセイ基礎研究所の鈴木智也准主任研究員は、国が認定した大阪IRの区域整備計画における雇用創出効果に産業別の外国人労働者依存度を掛け合わせた試算結果を公表した。
中位ケースでは、夢洲のIR施設単体で開業3年目に1,645人の外国人労働者需要が発生し、内訳は宿泊・飲食サービス業が894人、カジノを含む生活関連サービス業・娯楽業が309人とされる。
近畿圏全体に波及効果を含めると、建設期5年間で延べ約1.8万人(年平均3,662人)、開業3年目には約1万人に達する見通しだ。
同レポートは、カジノディーラーなど現場人材に適用可能な在留資格が未定である点を制度面の課題として指摘し、国に対して早期の明確化を求めている。
なお本試算は企業への採用意向調査に基づくものではなく、仮定に基づくモデル計算である。
ビジネスインパクト分析
本試算が示す影響は複数のセクターに及ぶ。
まず人材・HR業界にとっては、近畿圏全体の宿泊・飲食サービス業で、外国人労働者需要が開業1年目の1,592人から2年目に4,943人へ約3倍に急増するとされる点が重要だ。
外国人採用の支援や多言語研修プログラムの整備が、関西圏の人材ビジネスにおける新たな事業機会として浮上するだろう。
建設セクターでは、工事期間5年間で年平均3,662人の外国人労働者需要が見込まれている。
総量の影響は万博工事からの人材移行で和らぐ可能性がある一方、工事のピークとなる2028年頃に特定技能の受入れ枠が上限に達する見込みと重なる点が懸念される。
人材確保が難しい下請けの中小企業を起点に、工期全体が遅れるリスクを注視する必要がある。
一方、カジノ運営事業者にとってのリスクは在留資格の不透明さだ。
IR整備法がカジノ管理委員会の審査を経ない者の業務従事を禁じている以上、在留資格の制度設計が遅れれば、ディーラーをはじめとする専門人材の確保計画そのものが宙に浮きかねない。
特定技能制度ではゲーミング分野の人手不足認定が困難とされ、「技術・人文知識・国際業務」も現場実務への適用に疑問が呈されている。
投資家にとっては、制度リスクが開業スケジュールに与える間接的な影響を織り込む必要があるだろう。
編集部レビュー
本レポートの意義は、大阪IRの雇用創出効果を「外国人労働者需要」という切り口で定量化した点にある。
国の認定を受けた区域整備計画の雇用見込みに産業別の外国人依存度を掛けるという手法は、あくまで仮定ベースのモデル計算であり、実際の採用動向とは乖離しうる。
しかし、関西圏が慢性的な人手不足に直面するなかで、IR開業がどの産業にどの程度の追加的負荷をかけるかを可視化した試みとして、政策議論の材料になり得る。
制度面で最も注目すべきは、カジノ人材の在留資格が依然として未定である事実だ。
IR整備法はカジノ管理委員会の審査を経ない者をカジノ業務に従事させることを禁じており、ディーラーなど現場スタッフの採用は審査体制と在留資格制度の両輪が揃わなければ前に進まない。
2030年秋頃の開業を目指すスケジュールを踏まえると、制度整備の遅れは人材確保の直接的なボトルネックとなりかねない。
本メディアが5月に報じた大阪IR、次は従業員住宅 オリックス幹部がハード面の進捗に言及では、ハード面の整備にめどが立ちつつあるとの事業者側の認識が示された。
ハードが進む一方でソフト面──とりわけ人材確保の制度的基盤──が追いついていない構図が、今回のレポートによって改めて浮き彫りになった形だ。
事業機会を探るビジネスパーソンへのインサイトとしては、在留資格の制度設計が動き出した段階で、外国人労働者向けの住居・生活支援サービス、多言語対応のHRテック、ゲーミング分野に特化した人材紹介・研修事業などに先行的な需要が生じると想定される。
制度の空白が埋まるタイミングを見極めることが、関連ビジネスへの参入判断において鍵となるだろう。
情報源
- 大阪IRが関西の人手不足と外国人労働者需要に与える影響 – ニッセイ基礎研究所
- Osaka IR may need 1,645 foreign workers; dealer visa unclear – sigma.world
- 特定複合観光施設(IR) – 国土交通省 観光庁
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